DevRelのローカリゼーション

DevRelのローカリゼーション

DevRelは開発者個人と向き合った活動になります。そのため、現地化がとても重要です。特にこれから海外に進出する、グローバルにサービス提供する、逆にある地域(日本含む)に進出する場合においては、現地の開発者状況について学ばなければなりません。

たとえば先日開催したDevRel/Asia 2020の場合、11月14日がインドのディーワーリーであることをほとんど誰も知りませんでした。ディーワーリーはヒンドゥー教のお祭りであり、日本で言えばクリスマスと正月が同時に来たような熱狂的お祭りになります。これがあったため、インドチームは運営に参加できなくなりました。あらかじめ知っていれば避けたのに…と思わずにはいられません。これは日本で言えばゴールデンウィークやお盆を避けたりするのと同じです。

さらにコミュニティのイベント開催方法も地域によって異なります。たとえばシンガポールではセッション前にご飯を食べます。懇親会のような時間が最初にあって、そこで食べながら参加メンバーたちと会話をします。そしてある程度集まった段階で椅子がある部屋に移動してセッションがはじまります。そして終わったら、すぐ解散します。日本とはまるきり逆ですし、20時前とかでも平気で終わってしまうので最初は驚きました。

コミュニティイベントは開催曜日、時間なども特色があります。シンガポールの場合、平日夜に行われるイベントも多数あります。インドでは平日はあまりなく、土曜日の午前中に行われたりします。この辺りの地域特性も分かっていないと、参加者が集められなかったり、彼らの満足度が低いものになってしまうでしょう。

これは日本でも同じで、地方都市の場合は平日夜でも大丈夫ですが、埼玉や神奈川、千葉などの東京周辺で開催する場合は週末の午後が都合がよかったりします。彼らは平日は東京の会社に出社しており、自宅は神奈川、千葉、埼玉にあります。自宅に戻るまでに1.5時間くらいかかるので、平日夜のイベントに参加するのは困難です。また、週末の午前中は休む時間として必要で、午後3時くらいからイベントを行うとちょうどよかったりします。

インターネットによって情報の平準化が進んでいるように感じますが、それでも東京近辺と大阪、地方都市とで情報格差や技術浸透格差は存在します。東京でウケがよさそうなコンテンツであっても、地方でウケるとは限りません。イベントのテーマも都市に合わせて作成すべきでしょう。

国によって異なるのは利用しているツールも挙げられます。日本ではconnpassがイベントツールとして最も有名ですが、別な国ではMeetup.comであったりします。韓国や台湾の場合、Facebook Groupが開発者コミュニティで最も利用されているそうです。中国ではWeChatがコミュニティとしても使われています。グローバル = Meetup.comと単純に考えていると、集客やコミュニティ育成に大きな失敗を被るでしょう。これはソーシャルサービスやコミュニケーションツール全般にいえることでしょう。

言葉は一番シンプルな地域特性になります。日本において英語や欧米人というだけで、一定の距離感を置かれてしまいます。数年前、いくつかの企業では外国人のエバンジェリストを雇用していましたが、いまはどうなったのか分かりません(少なくとも2社はいなくなっています)。これは諸外国においても同様で、現地においては現地人のエバンジェリストの方が、より彼らの市場に入り込めるでしょう。

現地の学び方

さて、実際にどうやって現地のことを学ぶかといえば、一番いいのは自分が実際にそこで体験することでしょう。1回、2回の話ではなく、何度も足繁く通って自分自身が現地化するのが一番です。そこで現地の状況に精通している人を見つけられれば、その人を通じて現地のことを学べるようになります。

地方のコミュニティなどは人が重複していることが殆どです。一人のコミュニティ強者が複数のコミュニティ運営に携わっているような状態です。そうしたコミュニティのコネクターと信頼関係を結ぶことが、成功への第一歩となるでしょう。

ヌーラボではシンガポールオフィス開設に伴い、イベントスペースを開設しています。こうしたイベントを開催するような強者との接触機会を増やすというのは、現地を学ぶ、現地に広める上でいい施策だと感じています。

まとめ

もちろん現在はコロナ禍にあって、容易に都市を移動したり、海外に移動することはできません。とはいえ、オンラインサービスはインターネットを通じて世界中につながっています。やろうと思えばいつだってサービスのグローバル展開は可能でしょう。そうした時のDevRelの注意点としては「彼を知り己を知れば百戦殆からず」です。相手を知らずして、自分たちのやり方を押しつけることのないよう注意しましょう。

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