2017年4月12日、株式会社ウフルさんにてCMC_Meetup(Community Marketing Community Meetup)の第4回が開催されました。回を追うごとに規模が大きくなっているこのミートアップ、今回はなんと110名を超えるエントリーがありました!
今晩はCMC Meetupへ。#CMC_Meetup pic.twitter.com/iTB8sjSX9N
— Yosuke Shindo (@shindoy) April 12, 2017
今回は コミュニティ×キャリア&しくじり特集 と題して、
とコンテンツが盛りだくさんで、いつにも増して熱量の高い 「神回」 となりました。
当日の様子がわかるTogetterはこちらから。
まずは小島さんによるキックオフセッションから。
CMC_Meetupでは毎回必ず冒頭のキックオフセッションで、ミートアップの趣旨と、コミュニティマーケティングについての概要が説明されます。
コミュニティマーケティングを理解する上で重要な「3つのファースト」「ボーリングピン戦略」「Sell Trough the Community」などの概念も上記のスライドでしっかり説明されていますから、ぜひチェックしてくださいね。
毎回必ず「この会の目的はxxxです。」と説明することは、コンテキストの共有 という意味で非常に重要です。コミュニティをデザインする上で絶対に押さえておきたい3つのファースト「オフラインファースト」「アウトプットファースト」「コンテキストファースト」のコンテキストの部分をCMC_Meetup自体が体現しているといえます。
ちなみに「3つのファースト」についてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事をどうぞ。
クラウドの黎明期2010年からなんと7年も続いているクラウドの勉強会「八子クラウド勉強会」。
など、コミュニティ立ち上げを考えている人にとっては絶対に真似したくなるノウハウが満載の前半と、そのコミュニティ運営ノウハウをどうやってビジネスに活用しているのかを示した後半の二段構成になっている大変有益なセッションでした。
ものすごく分かりやすくスライドにすべてが凝縮されていますので、来られなかった方はもちろん、復習のためにも必見です!
八子クラウド勉強会でも毎回必ず趣旨説明をするそうで、これもコンテキストファーストの実践といえます。お決まりの説明であっても必ず説明を行うことで、回を重ねるごとに内輪の雰囲気が濃くならないように、新規参加者を排除しないようにと配慮しているとのことです。
コンテキストと同時に、参加者にアウトプットしてもらうこともコミュニティの活性化には欠かせないことです。どうやったら参加者からアウトプットしてもらえるのか?という問いに対して、八子さんは 「価値を感じてもらえる場にする=先に与えている。たとえば当日、リアルタイムで議事録をとって参加者に提供するなど(そうすることでみんな議論に集中できる)、みんなが結果をだしたいと思える場所にしている。」 と回答していました。
「コミュニティメンバーのためにまずは自分がコミットする」 というのはコミュニティマネージャーの必須要件のようです。
前回、「しくじり先生」として登壇したスパイシーソフト山田さんのLTが好評だったことから実現した今回のこの特集。なかなか失敗した事例って教えてもらえないですよね…?そんな「コミュニティにまつわるしくじり話」を3人の「しくじり先生」が発表してくれました。
最初のしくじり先生は、Campusノートでおなじみの文房具のコクヨの山崎さん。CamiAppというアプリ付きノートのマーケティングでコミュニティの活用にチャレンジしたけど、しくじってしまったというお話をしてくれました。CamiAppのしくじり理由をまとめると…
コンテキストの設定や運営体制の構築の大切さが身にしみるセッションでした。想定よりもターゲットが少なかったという点に関しては、「製品のファンがいないとコミュニティマーケティングは機能しづらい、つまりある程度の母集団がいないとコミュニティが形成できない」という小島さんの言葉を思い出します。自分の製品やサービスがコミュニティマーケティングに向いているのか?タイミングは今なのか?という視点も大切ですね。
内容もさることながら、「しくじり先生」を完全に模したプレゼン資料と山崎さんのゆるめのプレゼンスタイルですっかりファンになってしまいました…!
続いてはソーシャルカンパニー市川さんから、しくじり体験談と#CMXSummit というアメリカで開催されているコミュニティマネージャーのためのカンファレンスの紹介がありました。
市川さんはコミュニティマネージャーコミュニティ(現CMC HUB)というコミュニティを2013年に立ち上げており、さらにそれ以前からコミュニティに着目してきた、いわばコミュニティの超アーリーアダプター。そんな市川さんですが、昨年の主催された「コミュニティマネージャー感謝の日」の運営の際は、ついついひとりでなんでもこなしてしまい、独走してしまったのがよくなかったというエピソードを披露してくださいました。
CMC_HUBは現在市川さんから堺さんという別のリーダーに代替わりしたそうです。コミュニティの新陳代謝はよく話題にのぼるトピックですが、運営チームのなかに安定したメンバーがいるかどうかが代替わりの鍵ということでした。
続いては、html5jを立ち上げた白石さんのセッション。コミュニティが大きくなりすぎてしまったが故のしくじり体験談でした。html5jといえば、日本のIT業界でエンジニアをしていれば、おそらく知らない人はいないであろう数千名規模の超巨大コミュニティです。
あまりにも赤裸々な内容で詳しくは書けませんが、白石さんがしくじりから得た教訓は以下の2点。
コミュニティが成長していくと当然最初のステージとは状況も変わっていきます。その変化をしっかり捉えてコミュニティマネージャー自身も成長しなければならない、責任を引き受けてリーダーシップをとることを恐れてはならない、という白石さんの言葉には筆者も身が引き締まる思いでした。
続いて、アンバサダープログラムの仕掛け人、アジャイルメディアネットワークの徳力さんと小島さんが会場から質問を受け付ける公開Q&Aが行われました。
アンバサダープログラムもコミュニティマーケティングも、「既存のお客様を大事にする」「ファンを通じて製品の良さを届ける」という点は同じ。マスマーケティングがあまりにも進化したため、新規顧客にとにかくたくさんリーチできればよしという考え方が浸透していたけれど、ブロガーのバックグラウンドを持つ徳力さんからしてみると、「その製品のファンだったらよろこんで拡散するのに。」という顧客視点があったそうです。
コミュニティマーケティングにおいては、お客様を「囲い込んで、売る」という考え方ではなく、「ファンを通じて製品の良さを届けてもらう」という視点が大切です。徳力さんの最新刊、「顧客視点の企業戦略 アンバサダープログラム的思考」では、「ファンを通じて製品の良さを届ける」という基本的な考え方が小島さんの「Sell Through the Community」の図を用いて紹介されています。
ここからはQ&Aの簡単なまとめです。
徳力さん「広告枠の一つとしてコミュニティマーケティングを捉えるとコミュニティマーケティングは理解できない。クライアントとしっかり話して期待値を下げることが重要。従来のやり方ではダメなんじゃないか?ソーシャルメディアの力をもっと使ったほうがいいんじゃないか?というエネルギーはどこかにあるはず。そういう感覚を共有できる人をまずは見つける所から」
小島さん「コミュニティマーケティングは、今の営業活動と矛盾することではない。マスマーケティングとは全くの別物。マスマーケティングで満足している状態ならむしろ必要性がないかもしれない。しかし、そうやって得た顧客のLTVは低いのではないだろうか?登録者は多いけど使ってくれてないとか…。そういう視点で語りかけてみるとよいかもしれない。」
徳力さん 「マスマーケティングとコミュニティマーケティングは対極にあると思われがちだが、実際の構図としては、コミュニティマーケティングの上にマスがのっかっている状態と考えたほうが自然。実は、マスマーケティングの方が異常だったと考えている。お得意さんがいなくなった世界がマスマーケティング。たとえばある飲食店がテレビで取り上げられたとしたら、瞬間風速は稼げるが、それは既存のお客さんにとってはよくないことかもしれない。あえてテレビの取材を断ってしまうような、いわゆる「一見さんお断り」のお店は顧客視点といえる。」
小島さん 「本質的にはITリテラシーとは実は関係ない。ただITリテラシーが高いひとが拡散することで初速が出やすいだけ、見やすくなっただけ。」
小島さん 「スーパースターで集客をすることは、懇親会でビールと食事を無料で提供することと似ている。常にそのようなモデルでイベントを開催していくと、ただのイベントになってしまい、コミュニティの拡大には繋がらない。コミュニティのコンテキストを理解した熱量の高いひとを中心にそえるのが大切。」
小島さん 「JAWS-UGの神戸支部の例が面白い。彼らのミートアップは30人を上限と考えている。つまり、学校でいえば1クラスくらいの人数、インタラクションできる人数で、会場を固定して行なっている。」
最後に、実際にコミュニティ運営に関わっている方々が3分間のミニLTを披露。
AppExchangeはセールスフォース上で動くアプリのプラットフォーム。9年前から独自展示会という形でコミュニティづくりを行ってきたそうです。八子さんのセッションにも共通するところですが、企業ベースでのコミュニティ運営では “中立化”がひとつのキーワードといえそうです。
経理や労務を最適化するクラウド業務ソフトfreee(フリー)のfreee株式会社もファンコミュニティを立ち上げたということで、その際に実際やってみたこと、今後の課題などをシェアしてくださいました。社内での理解者を集めて運営体制を作る所から始めているのがポイントですね。
実は筆者も自分が運営しているコミュニティ、Creators Learning English Meetupの立ち上げ時に気をつけたことをお話させて頂きました。コアメンバーのリクルーティングにTwitterを活用し、しっかりとボーリングピン戦略を実施したのが上手くいった理由だと思っています。
最後に、PPUG(PayPal User Group)の主催者の新井さんから、オーガナイザーとして参加するようになったきっかけや、今やっている取り組みなどをお話頂きました。実はPayPalさんはCMC_Meetupのリピーターさんなのですが、実際にこのCMC_Meetupから企業コミュニティが立ち上がり、こうやって発表をされていることにコミュニティマーケティングの拡がりを感じます。
今回の懇親会の出席率は87.4%で、ほとんどの方が懇親会に参加しました。”コミュニティの成功は懇親会にあり”ということで、みなさんビールやお食事もそっちのけで会話に花を咲かせていて、こんなに熱量の高い懇親会ってあるの?!というぐらい盛り上がっていました。
回を増すごとに、着実に人数・熱量ともに勢いづいているCMC_Meetup。これからもコミュニティ活用にまつわる色んな知見が得られる場所になっていきそうです。リピーターの方も、まだ来たことがないという方も今後の動向を是非チェックしてください!
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またMOONGIFTではコミュニティの構築支援を行なっています。初期設計から運営までをトータルにサポートするサービスです。こちらも興味のある方はぜひお気軽にご相談ください。
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