DevRelにおけるコンテンツマーケティングのあり方

DevRelにおけるコンテンツマーケティングのあり方

これからDevRelをはじめていこうと考えているサービスにおいてコンテンツマーケティングはとても重要です。最初にエバンジェリストやアドボケイトを立てて活動を行った場合、人的コストが大きくて一年持たずに断念するというケースはよく聞きます。エバンジェリストの存在はDevRelにおいて大事な要件ですが、最初の下地もない状態でいきなり活動しようと思っても費用対効果が見合わないかも知れません。

費用対効果の分からない予算をいきなり投じるのではなく、最初はスロースタートからはじめて見るのがお勧めです。そんな時にコンテンツマーケティングは有効な施策だと言えます。

コンテンツマーケティングのメリット

コンテンツマーケティングは主にデジタル上での施策です。そのため、インターネット上にコンテンツが蓄積されていきます。このコンテンツはロングテールとして継続的に参考され続けるコンテンツになります。もちろん一つ一つのコンテンツは小さいものですが、積み重ねによって大きなトラフィックスを生み出す効果が望めます。

そしてリアルな(アナログな)活動に比べて広く伝わっていく可能性があります。リアルではせいぜい数十人〜数百人に対してしか情報が届きません。それに対してインターネット上であれば、日本人開発者を対象としていても数十万人に届けられます。首都圏、大都市圏であればまだしも、地方に住む人たちに対して情報を届ける方法としてはコンテンツマーケティングの方が効率的と言えます。

コンテンツマーケティングのデメリット

インターネット上に公開される情報は、間違った情報の場合にも永続的に残り続ける可能性があります。特に開発者がいやがるステルスマーケティングであったり、誇大広告、他社を貶めるような内容の記事は消したからといってなかったことになる訳ではありません。ウェブ魚拓を残される可能性もありますし、ソーシャルメディア上での炎上につながる恐れもあります。

しかし、これらの問題は未然に防ぐことができます。読み手の気持ちになって問題があると感じられるコンテンツを作成しなければいいのです。炎上商法なども知られていますが、対開発者に対して選ぶ理由はないでしょう。自社の論理ではなく、受け手の論理で考えて問題のないコンテンツを作成すればいいだけです。

DevRelにおけるコンテンツマーケティングとは?

ではどんなコンテンツが考えられるでしょうか。これは実に多種多様です。ざっとあげるだけでも以下があります。

  • 自社ブログ
  • Qiitaなどの外部ブログ
  • 動画
  • PodCasting
  • APIドキュメント
  • チュートリアル
  • 事例記事
  • オンラインメディアへの寄稿
  • ソーシャルメディア
  • Teratail/StackOverflowなどのQAサイト
  • デモプログラムのソースコード
  • 電子書籍
  • スライド

これらのコンテンツを利用者属性、受け手のいる場所に合わせて提供するのです。もちろん、複数を組み合わせたり、一つのコンテンツを複数に展開することもできます。たとえばリアルに行ったセミナーの登壇内容をテキスト化してブログ記事にし、動画をYouTubeにアップロード、そしてスライドをSlideShareやSpeakerDeckにアップロードするといった具合です。

どれから取り組むべきか

はじめに選択すべきものとしては、コストが低いものになるでしょう。Qiitaなどのブログからはじめてみるのが一番低コストかも知れません。また、すでにコンテンツが存在するQAサイトに訪れて、自社サービスに関連している質問に答えることでもはじめられます。

逆に動画やオンラインメディアへの寄稿などはコストが高くなりがちです。これらのコンテンツはミスがあった時に素早く訂正するのも難しいので、敷居が高くなるでしょう。

KPIについて

KPIは一般的に閲覧数、登録数などで測定されます。しかし、閲覧数などは必ず頭打ちします。最初の数ヶ月は倍々に伸びていくと思われますが、その後は伸びが鈍くなるはずです。それによってコンテンツの追加をやめてしまうと、今度はダウントレンドになってしまうでしょう。そうなってからてこ入れをしても、復活するのにかなりの時間を費やすはずです。

オンラインコンテンツは世界中から常に追加され続けています。古いコンテンツの中にも役立つものは存在しますが、ほとんどは最初だけでロングテールの一部になっていくでしょう。そのため、コンテンツは常に定期的に繰り返し投入し続ける必要があります。それによってGoogleの評価が高くなり、徐々にPVも増えていくでしょう。

ユーザ登録数などをKPIとする場合はファーストタッチのコンテンツを測定しなければなりません。どのコンテンツからはじまったリレーションが結果的にユーザ登録につながったのかを測定しましょう。それによってユーザに一番訴求しやすい機能が分かったり、ユーザの利用目的が分かったりします。

ブログ記事の数は

これからブログをはじめようと考えるサービスにおいてよく聞かれるのが「ブログを月何記事投稿すべきか」です。まず大事なのはどれくらいの社内リソースがあるかです。リソースとはすなわち書き手、そしてコンテンツのネタです。これがすぐに枯渇してしまうのに何十記事も生産できる訳がありません。

当面書けようなタイトルをざっと洗い出してしましょう。それが10個以下であれば、月2記事として5ヶ月書き続けられるようにしましょう。20個思い浮かぶなら月4記事とします。マックス、週2記事(月8記事)くらいを目安にするといいでしょう。書くと決めればアイディアが沸くという考え方もあります。

コンテンツのアイディア

コンテンツの作り方としてはいくつかのパターンがあります。

  • まとめ記事
  • サービスのTips
  • 自社サービス×他社サービス
  • 自社サービス×テクノロジートレンド

自社サービスだけで掘り下げるのは困難で、ネタにつまることが殆どです。そこで他社サービスであったり、技術的なトレンドキーワードと合わせていきます。そうやってアイディアを掘り下げて新しいアイディアを生み出していきます。コンテンツマーケティングではブレインストーミング的な企画会議もよく行われます。

どんなことをコンテンツにするべきか

コンテンツマーケティングは自社のアピールしたいことをコンテンツにするのではなく、読み手になる開発者が必要としている情報を書くべきです。彼らが普段どんなことで困り、どんなキーワードでWeb検索しているのかを考えます。その時に自分たちのコンテンツが出るようにするのです。困っている状態から解決までの道筋を繰り返し提供することで開発者の信頼を得られるようになります。その信頼によってユーザ登録につなげるのです。

開発者を想像するということはペルソナを作る作業でもあります。自社サービスの利用想定者を想像することで、彼らが普段どんな仕事をしていて、どこで困っているかが理解できるようになります。ひいては、それによってサービスに求められている機能なども知ることができるようになるでしょう。

まとめ

コンテンツマーケティングはミスした時の損失も少なく、それでいて得られるものが多い施策と言えます。オンライン上に情報を載せなければ、その情報は誰も探せない情報になります。そんな情報はこの世に存在しないのも同様でしょう。積極的に情報を公開し、その情報を必要としている開発者(多くは自社サービスの利用対象者)を助けましょう。

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