海外登壇で準備したもの、注意したこと

海外登壇で準備したもの、注意したこと

2018年は二つのカンファレンスで海外登壇できました。

これらの経験で得られた知見を紹介します。

英語のレベルについて

まず私の英語のレベルですが、たぶん大したことないです。TOEFLなど数値化するようなものは受けたことがないので分かりませんが、たぶん平均レベルの得点だと思います。私よりずっと良い得点をとれるだろうに喋れない人はたくさんいると思います。

完璧な英語を喋れれば良いですが、逆に外国人が喋る日本語で考えてみると良いと思います。外国人が完璧な日本語を喋るのはとても大変というのは分かるでしょう。突然出るため口であったり、一人称が変だったり、ですますが変というのはよくあることです。しかし、それに対していちいち注意したりするでしょうか。意味はちゃんと読み取れるので、たぶんそんなことはしないでしょう。相手が日本人でないというのは分かっているので、ポジティブに受け止めるはずです。

同じことは英語でも言えるんじゃないかと(勝手に)思っています。日本人が英語が母国語ではないというのは海外の人であれば大抵分かっています。さらにアメリカやイギリスなどの英語が母国語な人たちは、普段様々な英語に触れています。インド人、シンガポール人、中国人、日本人などのそれぞれ特徴がある英語に触れているので、理解する幅が広くなっています。なので日本人の語る英語でも特に問題なく通じます。

個人的には日本人が話す英語であれば大抵大丈夫だろうと思っています。ただ、ゆっくり喋れば通じると思うのは間違いで、むしろある程度のスピードで喋った方が通じます。その方がちょっとしたミスは誤魔化せます。

それくらいのレベルの人でも海外で登壇できますので安心してください。

最初にやること

まずCFP(Call for Papers)を提出します。これは登壇を希望する時に出すもので、話す内容のサマリーです。PaperCallというサイトがこの手の大手だと思いますが、ここのインデックスでイベントを探すことができます。そこで自分が話してみたいと思うイベントがあればCFPを提出するのが第一歩です。

大事なのは「なぜ私が喋らないといけないのか、なぜ自分が最適なのか」のアピールになります。提出する内容が良いのはもちろんですが、それだけであれば他の人が喋っても良いわけです。なぜ自分でないといけないのか、それをバックグラウンドを含めて書く必要があります。

ちなみに日本のサービスは海外では殆ど知られていません。日本で少しくらい有名になったと思っても、海外では100%知られていません。例えばSORACOM、メルカリ、DeNAクラスでも無名だと考えた方が良いでしょう。海外で知られている日本の会社といえば、ソニーや任天堂、トヨタなどではないでしょうか。そんな中で、自分たちのサービス名を出せば大丈夫だろうというのは無意味と言えます。

CFPが通ったら

CFPが無事通ったら、スライドの作成を行います。英語のスライドを作成する際ですが、多少文字が多めの方が良いと思っています。日本語で話すプレゼンであれば写真やイメージを大きく前面に出して、後は口頭で説明するタイプのスライドでも問題ないのですが、自分が思っていることをすべて英語で説明できるとは思いません。少なくとも私には無理なので、普段より文字多めになっています。

アニメーションを使うと1枚のスライドでの説明量が増えるので、それも避けています。ちなみにDevRelCon Chinaではスピーカーノートが使えないという大きな問題があります。つまり話す内容を書いておいて、それを読むのが不可能なのです。

写真で分かりますが、スピーカーの登壇台はありますが、PCはありません。なので話す内容をちゃんと覚えて臨む必要があります。

スライドに盛り込むのはちゃんと役立つ内容なのはもちろんですが、日本独自のコンテンツをちょっと盛り込むと受けます。例えばDevRelCon Chinaの時には中国語のスライドを混ぜました。欧米やヨーロッパの外国人では漢字を理解するのは難しいですが、日本人ではなんとかなります。写真の背景にある桃园乡というのは日本語では桃源郷になります。元々が中国から伝わってきたものなので日本人としても説明しやすいでしょう。

API the Docsで話した際にはマンガコンテンツの話を入れました。これが思いの外、好評でした。 via 「API」 ~マンガでプログラミング用語解説 (1/5):CodeZine(コードジン)

日本特有のコンテンツについて

海外のカンファレンスにいって現地の人たちと話をすると、多くの場合「東京の街」「アニメ」「マンガ」「日本食」の話になります。日本のコンテンツ力は非常に強いです。ただしアニメやマンガについては、あまり先進的なものを取り上げない方が良いでしょう。例えば中国ではスラムダンクがよく知られています。シンガポールで聞いたのはナルト、GitHubのダンは鋼の錬金術師やワンピースが好きです。

特に若い女性がメインになるようなアニメはコンテンツに使うべきではありません。海外ではジェンダーフリーが当たり前であり、セクシャル的なイラストはハラスメントにもなりかねません。もちろんコピーライトの問題もあるので、取り扱いには注意が必要です。ただ、日本的文化の特徴とも言えるので、うまく活用することで日本人ならではのスライドになると考えています。

スクリプトについて

スライドを作ったら、それに合わせてスクリプト(台本)を作りましょう。この時、日本語で台本は作らない方が良いです。私も前はそうしていたのですが、日本語では簡単な文章も、英語では難しい単語を使わないといけなくなったりします。そういった文章をすべて暗記できれば良いですが、本番でスラスラと話せるとはとても思えません。そのため、自分が平時で喋られる単語だけを使うように、自分の知識の範囲内にある単語だけを使うのが無難です。

そして読んでみて、時間内に終わるかどうか確認します。本番の緊張度合いによりますが、私は早口になりがちなので、30分のセッションであれば22分程度で読める分量にしました。そうすれば何かトラブルがあっても時間内に乗り切れるという読みでした。

練習について

後はとにかく練習です。まず読んで練習します。この時には紙に印刷して、実際に読んでみて何か引っかかる部分があれば赤ペンを入れていきます。ある程度覚えたら、スライドを使いながら練習します。何度も繰り返す中で流れを確認してスクリプトを修正します。

さらに実際に登壇する機会をもらって練習します。私の場合は自分でやっているDevRel Meetup in Englishというコミュニティがあったので、ここで練習登壇しました。実際に人前で話すことで、より本番さながらに試すことができます。そして聴衆の反応を見たり、フィードバックをもらって話す内容に反映しました。

当日までは一日2〜3回は練習していました。読み上げだけの場合もあれば、スライドを伴った練習もします。少なくとも英語に関しては何度練習しても十分ということはないでしょう。ほぼ暗記してしまうくらいの品質まで持って行くべきです。

本番当日

十分に練習していれば、当日はそんなに緊張することはないでしょう。もちろん慣れない場なので緊張はしますが、とにかくゆっくり喋る(といっても普段と同じくらい)ことに注力しました。スライドノートはもちろん使いましたが、なるべく前を向いて、身振りを大きくしながら話すように心がけました。

マンガやWe’re NOT hiringといったスライドでは思った通りの笑いがとれたので個人的には良かったです。笑ってくれるだろうと思ったところで誰も笑ってくれないと緊張がよけい高まります。かといって日本と欧米とで笑うポイントが違ったりするので、無理に狙わない方が良いでしょう。


基本的には日本語で登壇するのと変わりませんが、日本語以上にアドリブが効かず、言いたいこともいえないのが海外登壇だと思います。練習あるのみと言ってしまえばそれまでなのですが、英語の得意不得意は練習によって補えるのは間違いありません。今後、日本の人口と市場は間違いなく小さくなっていきます。そんな中で日本で、日本語でプレゼンスを高めていても英語圏にはまったく届きません。いざそういう時代になってから困らないためにも英語圏でのプレゼンスを高めるのがお勧めです。

なお、DevRelCon Tokyo 2019では絶賛CFPをお待ちしています。場所が東京なのでアウェー感は少なく、英語での登壇を体験することができます。ぜひトライしてください!

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