DevRelで行うべき施策は、自社やサービスのステージによって異なります。「これをやればDevRel」というものはありません。ただし、その施策が「開発者との関係性を構築する」という目的に沿っているかどうかは、常に意識しておく必要があります。ただイベントをやる、ブログを書くのであればそれは発信しか意識していないので、DevRelとは言えないでしょう。
サービスのステージを考える際には、プロダクトライフサイクルを意識すると良いでしょう。プロダクトライフサイクルとは、製品の市場投入から撤退までの期間を、市場の反応によって分類したものです。このプロダクトライフサイクルには、以下の4つのステージがあります。
このステージとDevRelの関係について、考え方を紹介します。
導入期とは、製品が市場に投入された直後のフェーズです。つまり、その製品をほとんどの開発者は知らない段階と言えます。この時には、まず知ってもらう = 認知度向上が最重要視される段階と言えるでしょう。そのため、イベントやブログなどの発信を行うことが重要になります。
主な施策としては、以下のようなものが考えられます。
たとえば、この段階でユーザーコミュニティを考えるのは時期尚早です。なぜなら、ユーザーコミュニティの核となる熱狂的なファンがいないからです。イベントを行うとしても、自社で開催するのが良いでしょう。
また、この段階でカンファレンスのスポンサードやブース出展は控えるべきでしょう。まだ製品に不具合があったり、ドキュメントが充実していない段階でユーザーを増やしても、製品の評判が悪くなるだけです。ユーザーは獲得しつつも、まず足下を固めることが重要です。
成長期とは、製品が市場に浸透し始めた段階です。この段階では、製品の認知度は高まっています。ただし、まだ製品の利用者は少ないため、製品の利用者を増やすことが重要になります。そのため、製品の利用者を増やす施策を行うことが重要です。
ユーザーに使いやすいサービスであるためには、まずユーザーの声を聞いて開発へフィードバックする点が求められます。そのためにもサポートフォーラムやチャットなど、ユーザーが問い合わせできる窓口を用意しましょう。
また、アーリーアダプターになるユーザーが集まることで、熱狂的なファンが創出されます。そうしたユーザーの方たちを中心に、ユーザーコミュニティを作りましょう。ユーザーコミュニティは、ユーザー同士の交流の場としてだけでなく、開発者とユーザーの交流の場としても重要です。
この成長期での主な施策は、以下のようなものが考えられます。
成熟期とは、製品が市場に浸透し、製品の利用者が増えている段階です。この段階では、製品の利用者を維持することが重要になります。そのため、製品の利用者が離れないような施策を行うことが重要です。
また、製品として利益を生み出すことが求められます。そのためには、有料ユーザー向けのサポートやカスタマーサクセスなども求められます。利用ユーザーもオープンなチャンネルでのコミュニケーションが得意な層から、徐々に企業規模が大きくなり、手厚いサポートも求められるようになるでしょう。
この成熟期での主な施策は、以下のようなものが考えられます。
飽和期は、製品の利用者が飽和しつつある段階です。この段階では、自社製品の類似サービスも増えているでしょう。その中では、競争に負けて撤退を余儀なくされるプレイヤーも出てきます。こうした他社ユーザーを確実に獲得していくことが重要になります。
また、製品市場に関する情報を発信することで、市場における自社の立ち位置を優位にする戦略も有効です。もちろん、すでに巨大なライバルがいる場合には、ニッチ戦略に切り替えたり、二番手を目指す戦略も有効です。
この飽和期での主な施策は、以下のようなものが考えられます。
衰退期は、プロダクトライフサイクルの最終段階です。この時点では市場規模が衰退、減少しており、撤退やサービスのクロージングを検討する段階となっています。なるべく衰退期に陥らず、成熟期と飽和期を繰り返したり、寿命を延ばすのが理想です。
もしサービスをクロージング、撤退する場合にもそのやり方を慎重に進めましょう。間違った撤退方法を選択すると、自社の別事業にも悪影響を及ぼしたり、今後のサービス開発に対するユーザーの信頼を失うことになります。
この衰退期での主な施策は、以下のようなものが考えられます。
DevRelが得意とするのは主に導入期〜成長期になるでしょう。マーケティング予算もあり、活発なユーザーがいる段階だからです。しかし、インターネットが登場して30年近くが経つ中、多くのサービスが成熟期に入っています。スマートフォンですら、飽和期にあると言っても過言ではありません。
常に新しいサービスだけにキャッチアップしても、DevRelとしての価値は十分ではないかも知れません。成熟・飽和していく中にあっても、十分な価値を提供できるように、自社のサービスのステージを意識して施策を考えていきましょう。
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