ハッカソンが生み出すもの

ハッカソンが生み出すもの

最近、ハッカソンが乱立しています。1〜2日間の短い時間の中で、一つの作品を作るというのは素晴らしいことなのですが、そうして生み出されたものが1週間後には放置されて終わってしまっているというのはとても残念なことです。実際のプロダクトレベルのものが1日2日でできるわけはありませんが、それでも継続して開発することでビジネス化であったり、社会を変えるような動きにつながって欲しいという思いもあります。

Mashup Awardは今年で11年を迎えるイベントですが、最初の方の数回で大賞などを受賞した方々はそのままビジネス化していたり、起業された方も数多くいます。Web API/マッシュアップという新しい時流に乗ることで、これまでになかったビジネスを生み出したり、収益化まで考えた取り組みだったのが多かったように思います。

最近のハッカソンでいうと、最後のプレゼンが優れているかどうかが受賞に大きな影響を及ぼすようになっています。そこで夢を見せられたプロダクトが最高といった具合です。しかし実際にはほとんど動作しなかったり、次の日には飽きてしまっていたりするものばかりです。これではせっかくのイベントがムダになってしまいます。技術協力した企業としては利用実績だけ増えれば良いわけで、実はこれで十分といった雰囲気なのがさらに問題を深刻化しています。

ハッカソンを開催する側としては、開発者がそのまま収益化につなげられるレールを用意してあげることが必要ではないでしょうか。PayPalのブレインハックでは日本国内の予選を勝ち残ると世界大会につながっています。そこでは多くのVCの人たちも見ており、受賞できなかったとしても良いサービスであれば出資を受けられる可能性もあるでしょう。そうした次のステップが感じられるのが大事ではないでしょうか。

日本でいうと先日のTechCrunchハッカソン2015の優秀作品に選ばれたKitayonは開発者の一人である masuidrive さんの会社で元々使いたいアプリを作っており、さらに他の会社にもテスト導入をはじめようとしています。需要があるところにフォーカスしている分、より実践的かつ継続的な開発が可能になっています(現在も開発が進められているとのこと)。やはりハッカソンなどに出たからアイディアを絞る、というのはずれている気がしてなりません。

もちろん何も作らずに漫然と過ごすのは最もよくありません。ちょっとしたアイディアであってもまず試してみて、世の中に出してみるというのは大事なことです。しかし、そればかりというのは折角のハッカソンやイベントの機会をいかしきれていないように感じるのです。

この手の問題はIoTが絡んだハッカソンで特に多いように感じます。ハードウェアは短期間でできるものではありません。プロトタイプであればずいぶん進めやすくなっていますが、その後の製品化となると全く違うレベルでの作業工程が多くなります。Kick Starterなどのクラウドファンディングでよくある問題で、コンセプトは良くても量産化となると違う次元の問題が起こりえます。そのためIoT系ハッカソンではその場ではとても面白い、しかし後日役に立つとは思えないものが賞を取っているのが現状であったりします。

せめて日々生活する中で思いついたアイディアをメモしておいたりすると、ハンズオンの際のアイディア出しを自分のニーズから探ることができるようになります。自分やその周囲の人々の生活を変えられる、そんな面白いサービスをハッカソンの中で創りだしてみてください。

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