傾聴マーケティングの次のステップとして共創マーケティングという言葉があります。コ・クリエーションといった単語で度々聞かれるようになってきています。
共創マーケティングでは消費者(サービス利用者)と企業(サービス提供側)がスクラムを組んで新しいサービス開発に努めることです。傾聴マーケティングでありがちな、聞いたはいいけれど社内のリソースが足りないから実現できないといった段階を超えて、ちゃんとリソースを用意した上でサービス開発を行っていく必要があります。
共創マーケティングの好例として取り上げられるのはゼクシィであったり、無印良品です。彼らは自分たちのポリシーがはっきりしているため、消費者からの意見をすべて取り込むわけではありません。カラフルでビタミンカラーな洋服を無印良品に望んだとしても彼らはきっと作らないでしょう。また、消費者にも無印良品のカラーは伝わっているため、そもそもそういった要望は出ないかも知れません。
つまり共創マーケティングを実現しようと思ったら、サービス利用者が自分たちのサービスについてよく知っている(知り尽くしている)ことが大事で、かつ商品開発を行うリソースがちゃんと用意されている必要があります。傾聴マーケティング以上にコストがかかりますが、消費者との絆は相当強化されるのは間違いありません。
DevRelにおいても共創マーケティングはとても大事なことだと言えます。一方的にサービスを作ってリリースしたところで誰も使ってはくれません。開発者の声を聞き、彼らの困りごとやニーズを聞き出していくのです。これはサービスリリース前は難しいかも知れません。多くの場合はニーズの前のシーズを捉えてサービスを開発するからです。
しかしリリース後は彼らの話を聞き、その中で最も大事だと思われるものや自分たちが思いもしなかったアイディアを取り込んでサービスを発展させていかなければなりません。これはオープンソース・ソフトウェアの開発に似ているかも知れません。軸がぶれるのはよくありませんが、自分たちの描く世界観は一本道とは限らないのです。
そして開発者は開発に意見を言えることでサービスに対する愛着をもってくれます。デジタルサービスの場合、目に見えるものが多くないのでなかなか開発者から愛情を受けられるサービスは多くありません。しかし、もしそれができたとすればもの凄く強力なパワーになるはずです。
ただし注意が必要な点があります。愛情は反転すると憎悪に変わる可能性があるということです。もしサービスが開発者たちの望む方向性に行かず、突然彼らを反故にするような動きを取るとあっという間に離れていってしまう可能性があるということです。これはWeb2.0ブームの時のDiggであったり、最近であればSourceForge.netなどに見られます。開発者はITリテラシーが高いのですぐに他のサービスに流れてしまったり、トレンドの変化を素早く察してしまうのです。
また、共創マーケティングにおいて一方的に旨みを得るだけの側に回ると失敗します。開発者を牽引するくらいの勢いがあるからこそ、彼らの協力が仰げるのです。GoogleやFacebook、Appleなどはそれが分かっているからこそ、開発者の先を走り続けているのです。彼らの勢いに負けない開発力の維持こそが成功の鍵と言えます。
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