DevRel(デブレル)という単語を聞いたことがあるでしょうか。おそらくほとんどの方は聞いたことはないでしょう。主にGoogleが用いている単語であり、Developer Relations(デベロッパーリレーションズ)の略語になります。Developer Relations、つまり開発者とのつながりという意味になりますが、ここでいうデベロッパーとは自分たちの会社外にいる開発者を意味しています。つまり自社のパートナーたる企業の開発者はもちろんのこと、個人の開発者も対象とした、企業対開発者のつながりを意味しています。
その規模は大小様々に存在します。例えばAppleのWWDCであったり、GoogleのGoogle I/O、Facebookのf8などがあります。Google I/Oなどは世界各国で開催される、最も大規模なものになるでしょう。AppleやFacebookにおいても数日間行われ、そのメインキーノートをCEOであるティム=クック氏やザッカーバーグ氏がつとめていることから分かる通り、DevRel活動に相当な力を注いでいます。これらはDevRelにおいては最も大規模な取り組みの例になるでしょう。
例えば2014年のWWDCにおいて、AppleはSwiftと呼ばれる新しいプログラミング言語を発表しました。さらにiOS 8の機能も紹介し、iOSがどのように進化し、魅力的なものになっていくのかを開発者達に存分に見せつけました。Swiftは即日ダウンロードできる状態になり、iOSアプリの開発者はみんなこぞってダウンロードし、昼夜を忘れて試したかと思います。Appleのブランド力があってこそではありますが、開発者に停滞を許さない勢いがそこに感じられるのです。
同様にGoogle I/OではGoogleらしいオープンな戦略が次々に発表されています。もちろんその全てがうまくいっている訳ではないが、Google WaveやGoogle Glass、マテリアルデザインなどは全てGoogle I/Oでの発表です。これらを見て開発者は未来を感じ、GoogleやAndroidに対する忠誠心を新たにするのです。
なぜ開発者に対して積極的な施策を行っているのでしょうか。それはもちろんAppleやGoogle、Facebookなどが独自のアプリマーケットを提供していることが要因として大きいと言えます。ただしそれらは彼らの本来のビジネスを基準として見た場合、ごく小さな割合でしかありません。Appleの利益全体に対するアプリビジネスの割合は5%以下と言われています。利益の7割はiPhoneから得ており、アプリビジネスの繁栄はiOSの魅力を増すために使われていると言えるでしょうが、直近のビジネスにおいて大きなインパクトがある訳ではないのです。GoogleやFacebookにおいてはメインビジネスが広告であるため、さらにその割合は顕著だと思われます。開発者をサポートするのは売り上げに直結するわけではなく、中長期的な判断に基づいて行われているのです。GoogleやFacebookはハッカー集団が作った会社なので、その印象を残すために行っていると感じるかも知れませんが、実際のところはそうではありません。明らかに戦略をもって行っているのです。
なお、開発者向けの活動は年一回の大きなイベントに限ったものではありません。10人くらいの極小規模なハンズオン、100名くらいのセミナーなど様々な規模で行われています。それも米国に限らず世界中で。なぜ彼らが外部の開発者とのつながりを重視し、その結果として何を得たのか。それを知るための手がかりがDevRelにあるのです。
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