DevRelとは何か? - 聞くマーケティング

DevRelとは何か? - 聞くマーケティング

旧来のマーケティングとの違いからDevRel(デベロッパーリレーションズ)とは何かを紹介します。最初のアクティビティ主体、ボトムアップに続いて今回は聞くマーケティングについてです。

聞くマーケティングとはその文字通り、相手の言うことを聞くということです。傾聴マーケティングとも言います。これはDevRel(開発者向け)に限らず、PR(パブリックリレーションズ)においても大事な要素とされています。

こと日本において傾聴マーケティングは殆ど注目されてきませんでした。その代わりに発信するマーケティングが重視されてきたと言えます。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌さらにはその流れを受けてのインターネットにおいても発信するマーケティング(=マス広告)が重視されてきました。確かに高度成長にあった日本において製品を作れば作るだけ売れた時代にあったと言え、そうした中では発信し続けることでマインドシェアを獲得するマーケティング手法はマッチしていたと言えます。

しかしここ最近はその傾向が崩れつつあります。まず大きいのは大量生産、大量消費の時代が終わり、消費者が選別する時代になったからでしょう。そのための情報収集ツールとしてのインターネットの発展がさらにその傾向を後押ししています。みんな、インターネットを使って正しい情報、自分に合っているかどうかを逐一チェックするようになりました。有名だから、広告で見たからと言った理由では購入につながりません。

次に旧来メディアの凋落です。雑誌やラジオは言うに及ばず、新聞もインターネットにシェアを奪われています。テレビにしても視聴率は軒並み下落傾向にあり、影響力こそインターネットに勝っているものの、テレビを見ない層が増えつつあります。これにより、企業はマスマーケットに対して効果的にアプローチする手段が失われつつあると言えるでしょう。

そして最後に情報量の爆発的増加です。情報量が増えた結果としていくら広告でアピールしたとしても他の話題にあっという間にのまれるようになってしまいました。これら3つの要素によって、発信するだけのマーケティング手法はシェアが伸ばせなくなっています。そこで注目されているのが聞くマーケティング、傾聴マーケティングです。

傾聴マーケティングは消費者の声を聞くマーケティングです。何に困っているのか、どういった解決策を望んでいるのか、どんな製品を望んでいるのかといった具合です。日本においても消費者のグループインタビューを通して製品開発されるケースがありますが、それでもなお余計な機能が多かったり、デザインがトレンドに乗っていないものが日々作られています。その意味ではまだまだ消費者の声を適切に反映できていないと言えるでしょう。

傾聴マーケティングにおいて有名な例として、無印良品のくらしの良品研究所がよく取り上げられます。クッションであったり家具であったりと様々な製品がこのくらしの良品研究所を通して開発されています。グループインタビュー、プロトタイピングそして製品の開発状態を含めてオープンにすることで消費者とのつながりを意識した製品開発が行われています。もちろん消費者の言うがままという訳ではありません。あくまでも無印良品ならではの製品と消費者のニーズをミックスして開発しているのです。

DevRelにおいても同様です。同じ技術領域の開発者を集めたミートアップを開催したり、セミナーを行ったりするのはDevRelにとって大事な活動になります。また、外部で行われている勉強会に参加して登壇者の話を聞いたり、懇親会を通じてコネクションを作るのも重要です。興味ある技術領域が近い開発者は、まさにターゲット層と一致するでしょう。彼らに自分たちの製品を紹介し(もちろんただ売り込んでもダメです。場の雰囲気を読みつつ、嫌がられない程度に紹介しましょう)、フランクな感想をもらうのも良いでしょう。さらにイベントの主催者とつながることができれば、次回のイベントで登壇することもできるかも知れません。

自社製品、サービスのユーザがある程度集まってきたらユーザ会を開いてみるのも良いでしょう。作り手としてはこれまでの全てのアップデート、新機能をすべて知っていて欲しいと思うかも知れませんが、そんなことはありません。そこでユーザ会を通して最近追加した機能の話をしたり、今後のロードマップを話すのがお勧めです。どのようなサービスであれ、今後も継続的に開発されていくこと、サービスが拡大していることが分かると使い手としては安心し、信頼を得られます。もし縮小傾向にあるなどと言われたら誰がそんなサービスを使い続けたいと思うでしょうか。

そしてユーザディスカッションなどを通して使い勝手の悪い点を挙げてもらったり、今後欲しい機能を聞くのも良いでしょう。ユーザ会に参加してくれる利用者というのはエンゲージメントの高い人たちと言えます。きっと率直な意見を出してくれることでしょう。

傾聴マーケティングは何も自社にメリットがあるだけではありません。誰しもが言いたい、聞いて欲しい言葉を常に持っています。それを「聞きます、ぜひ聞かせてください」という姿勢で臨むことがユーザにとってどれだけ嬉しいことでしょうか。つまり傾聴マーケティングは単なるお冠ではなく、態度で真摯に示さなければならないのです。そういった姿勢はリアルに対面しているとすぐに分かってしまうものです。彼らの意見をぜひ聞きたい、それをサービスの展開に活かしたいという意識こそが重要です。


傾聴マーケティングは何もオフラインに限りません。ソーシャルメディア、TwitterやFacebookでの対応にもその姿勢が大事になります。ソーシャルメディアは何も一方通行な発信だけでなく、ユーザとの双方向の対話が特徴になります。オフラインのイベント、オンラインのソーシャルメディア双方を使いこなし、聞くマーケティングを追求する必要があります。

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