DevRelでも最終的に求められる形としてコミュニティ形成があります。B2Bにおけるコミュニティ形成はなかなかうまくいかないといった声を良く聞くのですが、その成功例として度々聞かれるのがJAWS-UG(Japan Aamazon Web Service User Group)です。
そんなJAWS-UGをゼロから作り上げたのが小島(おじま)さんで、先日AWSを退社された途端に各社からコミュニティマーケティングに関する講演、指導依頼が絶えないそうです。そこでそういったニーズを持った人たちを集めて作られたのが今回のCMC(Community Marketing Community)で、昨日(11月24日)そのキックオフイベントが開かれました。こちらはその参加レポートです。
写真はすべて構造計画研究所 中井さんによるものです。
最初に小島さんからCMCの目指すところについて話がありました。話の発端になっている出来事として「JAWSは特殊事例で、小島さんだからできたことなのでは?」という意見があったそうです。B2Bにおけるコミュニティ形成は決して無理なものではなく、きちんと言語化し、ブラッシュアップしていきたいという思いがあるそうです。
そしてCMCが作られていく様子を通してB2Bにおけるコミュニティ形成を追体験できるようにしていきたいと考えているそうです。さらに講演したり、企業訪問した際に良く聞かれる「何からはじめれば良いのか」「B2BとB2Cの違い」などのコミュニティマーケティングに関する質問に答えられるコミュニティにしたいとのことです。
今回の参加者はマーケターの人が多いですが、中には経営企画やエヴァンジェリストの人もいました。中には実際にコミュニティ形成にチャレンジして課題に直面している人も多いとのことで、今回はまず課題の共有が主なテーマとなっています。
コミュニティマーケティングの基本として「Don’t Sell to the Community、Sell Through the Community」を挙げていました。これは小島さんの講演を聴いたことがあれば必ず耳にしたことがあるであろうフレーズですね。コミュニティに対してモノを売ったとしてもそれは規模もたかが知れており、かつコミュニティ参加者は引いてしまいます。そうではなく、コミュニティを通して、その外側にいる人たちに対して影響を与えるのが大事です。
さらに必要なこととして3つのフレーズを挙げていました。
コミュニティについてはやってみないと分からないのが極論で、作れば他社に簡単にはコピーされないものになります。
最初の一手間を惜しむと、コミュニティが成長しているように見えて実質的に実りが少ないものになります。なるべく慎重に取りかかるべきです。
ここでいうタネは人のことです。
すでに販売している人たちをコミュニティ化し、彼らが次に使う人たちを連れてきてくれる仕組みという意味では同じ枠組みでできます。
まずkintoneとコミュニティのステータスについて紹介がありました。最近のkintoneは利用企業が5000社を突破し、毎日700個以上の業務システムを作られているとのことです。コミュニティは3カ国、27都道府県にあり、イベントは111回開催されています。
サイボウズのイベントの作り方はユニークで、良い人にヒーローになって欲しいという思いがあります。例えば直近のイベントでは和太鼓奏者を用意したり、かなり遊んだイベントをやっている様子です。
kintoneは自分たちが効果的だと思うシステムを一緒に作ろうという重いから生まれています。従来の開発手法では難しい、画面を見ながらそれが共通言語としてシステムを作れるのが魅力です。プラグインのビジネス化も進んでおり、発展している様子がうかがえました。
そんなkintoneの価値を一言で説明しようと思った時期もあるようなのですが、無理という結論に落ち着いたそうです。言語化してしまうとプラットフォームとしての広がりに制限を加えてしまう可能性があったからとのことです。
kintoneが徐々に伸びている中、ラジカルブリッジという会社が中心となってkintone Caféという謎の勉強会がぽつぽつ出てきたのを確認し、コミュニティマーケティングがはじまったそうです。最初はスルーしていたそうですが、コミュニティマーケティングを口コミの発生源を作るという視点で見直した結果、支援する価値が生まれたとのことです。
まず社内のコミュニティに対する認識合わせを行い、実際に活動しているコミュニティメンバーの認識からはじまりました。その結果、
といった基準を設けて活動支援をされているとのことです。
なお、工夫として飽きられない継続進化であったり、内輪にならないようオープンな文化の熟成などに苦心しているとのことです。
iPhoneアルバムスキャナのOmoidoriの企画、マーケティングを担当されているとのこと。元々ScanSnapを担当していたのですが、新ブランドであるOmoidoriの企画を任されることに。
ScanSnapではアンバサダープログラムを取り入れており、ほぼ主体的に広めてくれている。アンバサダーを動かすのはブランドへの愛であり、ハコではないとのこと。商品力だけでなく、ユーザと重ねてきたコミュニティケーションの結果が今の形になっています。
翻ってOmoidoriの場合、新しいブランドなので愛を感じる実績がないためハードルが高いのではないかという疑問がありました。元々の製品、SnapBoxでは売れないと判断し、デザインや企画、コンセプトからすべて見直すことに。イイモノ・イイサービス=売れる、訳ではない。
商品を愛してもらうのが大事。そのためにはプロダクトに作り手の思いを載せてファンを作り出す。ファンは家族や知り合いに広めてくれる。
施策として、感動のタネをたくさんまいた。
元々製品コンセプトは10年前からあったが、震災によって思い出が流されてしまったことに背中を押されて作り上げたのがOmoidori。単純にアルバムをデジタル化するというのは平成生まれの自分にとっては縁遠い商品だった。そんな折、祖父のアルバムをデジタル化し、思い出ムービーを作ったらとても良かった。さらに自分の家族も登場してコンセプト動画を撮影した。動画は製品への思いを載せるにはぴったり。
メディアを集めて半年間で22回、イベントを開催した。代理店などを通さず、メディアに一つずつコンタクトして行っている。場所としては発表会、ロフト、百貨店、Ustreamなどなど。ショップバイヤー(エンドユーザに近い)に近い人たちに一人一人に製品説明を行った。ショップバイヤーに感動されたのが自分の自慢。さらにユーザの声を集めてムック本を作った。
どんな効果があったのか?商品を知ったきっかけとして、知人のSNS、口コミが多数になっている。今後は自分だけがエヴァンジェリストではなく、ユーザ視点でやっていく仕組みができれば良いなと思っています。
続いてLTですが、数も多く、短い時間だったのでまとめきれていません…。ということで箇条書きベースです。
キックオフ終了後は近くのGYOZA BARへ。20名以上の方が参加されており、とても賑わっていました。
コミュニティマーケティングは得てして匠の技になってしまうところがあり、それを再現可能な方法論に落とし込んでいくという小島さんの目標はとても面白いと思います。そのためには知見の共有とともに、測定可能な方法に展開していくことが大事なのだろうなと考えている次第です。
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