DevRelチームはマーケティング、開発のどちらに所属すべきか

DevRelチームはマーケティング、開発のどちらに所属すべきか

DevRelはマーケティングの一環ですが、その性質はかなり開発者寄りです。他の職種の人たちであれば問題ない行為であっても、対開発者では許されないことが多々あります。その虎の尾とも言うべき部分を理解せずに行ってしまった結果、開発者の失望を招いたという話も良く聞きます。

そのため、DevRelチームがマーケティングまたは開発チームのどちらに所属すべきなのかという問題は良く聞かれます。実際、どちらの方が良いのでしょうか。

マーケティングチームに所属した場合

DevRelはマーケティング活動なので、マーケティングチームに所属するというのは一番分かりやすい形と言えます。実際、マーケティングチームに所属しているケースの方が多いのではないでしょうか。

メリット

メリットはマーケティングチームの共通の目標に向かって活動を行えることでしょう。自社製品、サービスを広める活動はマーケティングチームのタスクになりますので、それを共有するのは大事なことです。ユーザ獲得やアクティブ率向上など、マーケティング目標に合わせた活動が行えます。

エバンジェリストやアドボケイトが開発者としてのバックグラウンドを持っている場合、開発が佳境になるとヘルプを求められるというのは良くある話です。その点、マーケティングチームとして開発チームと距離を置くことで、本来の目的と異なるタスクが降りかかるのを避けられるようになります。そうしないと開発が忙しくてエバンジェリスト活動できないと言った状態になります。

マーケティングはそれほど予算は多くないと言われますが、それでも開発チームよりはマーケティング活動のための予算が割り当てられるはずです。

デメリット

開発者としてのバックグラウンドを持ったエバンジェリストやアドボケイトの場合、開発現場から離れることにストレスを感じる人は多いです。そのため、しばらくエバンジェリストなどをやった後、開発現場に戻るという人も少なくありません。開発現場から離れると言うことは、最新のテクノロジーは追えても、現場で使える実践的な技術の蓄積が難しくなります。そのため、エバンジェリストやアドボケイトはスキルの切り売りをしている、とも言われます。

また、そもそもマーケティングの雰囲気に慣れないという方もいるでしょう。数字で結果が出るので技術的なのですが、その数字の集め方が開発者としては際どいケースが多々あります。数を集めるのを目的にすると、その質がおろそかになってしまいがちです。開発者目線で見た場合、その手法にストレスを感じることも少なくありません。

開発チームに所属した場合

では開発チームに所属した場合はいかがでしょうか。前述のマーケティングチームに所属した場合と逆と言えばそれまでですが、幾つかのメリットとデメリットがあります。

メリット

何よりも大きなメリットは開発現場の近くにいられることでしょう。自社技術に容易に触れることができるので、そのバージョンアップであったり、変化がすぐに感じ取れます。開発のスケジュールも簡単に把握でき、今後の展開も分かりやすいです。

利用者からはフィードバックが寄せられますが、その内容を言いやすいのも開発チームと距離感の近い場合の特権でしょう。マーケティングチームの場合、まずマーケティングチーム内でまとめた上で、開発チームに共有すると言った手間が発生します。また、開発優先度が開発チーム主体のため、マーケティングチームからの要望はなかなか通りづらいという問題もあります。

デメリット

一番大きなデメリットは開発のスケジュール状況によってエバンジェリスト活動が左右されることがある、ということです。開発チームに属する場合、エバンジェリストは専業ではなくリードエンジニアやCTOとの兼務だったりします。そうすると、開発スケジュールが忙しくない場合はよくとも、すぐに開発に従事する必要が出ます。登壇などは少なくとも1ヶ月前には決まっていますので、手が空いたからすぐに登壇セッティングできるわけでもありません。調整している間にまた開発の波がやってくるでしょう。

次に予算の問題があります。開発チームはDevRelに対する予算を多く持っていません。開発ツールや生産性向上に関する物品購入は可能ですが、出張であったりノベルティを作成、購入するような予算は持ち合わせないでしょう。そのため、計画はマーケティングチームが立てて、エバンジェリストとして担がれて登壇すると言った仕組みになりがちです。この場合、開発スケジュールと登壇スケジュールがうまくかみ合わないことも多々あります。

理想的な立ち位置とは

筆者のお勧めは次の通りです。

  1. 開発とマーケティングの間に存在する独立部署
  2. マーケティング部
  3. 開発部

マーケティングと開発、どちらかと言えばマーケティングであるべきです。DevRelの目的がマーケティング方面にある以上、開発部に所属しても成果を認めづらいでしょう。開発部にマーケティング的な機能を持たせるのであれば、それはもはや開発部とは言えません。

しかしマーケティング要素だけかと言われると、それも語弊があります。そのため、できることであればマーケティングと開発の間に存在する仲介者的な役割、またはマーケティングに所属しながらも開発部に席を置くような立ち位置が良いかと思います。

エバンジェリスト・アドボケイトは開発とマーケティング、両方の言葉を理解している必要があります。外部の開発者はもちろんのこと、社内のマーケと開発を橋渡しする役割も担うべきでしょう。

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