DevRelはビジネスの一環として行われるものです。そのため、限られたリソースを十二分に活用して成果を出さなければなりません。何にフォーカスして、何を行うのか決めなければ、何となく試してしまったり、投資したコストに対する結果も測定できないでしょう。
まず第一に自分たちが何を行うのか、それを正しく判断しなければなりません。そのために使えるのが戦略テンプレートになります。
戦略テンプレートはDevRelのマーケティングにおいて一助になるAAARRRPモデルに基づいて作られています。AAARRRPモデルは、マーケティングでいうAARRRモデルにA(Awareness:認知度)とP(Product:製品)を追加した考え方です。つまり以下のようなファネルになります。
詳しくはDevRelにおける戦略の立て方、考え方をご覧ください。そして、戦略テンプレートはこの考え方を表形式にしたものです。情報を入力することで、コストに対して期待できる効果が数値化されます。
戦略テンプレートの考え方はシンプルです。まず、施策を縦軸に決めます。カテゴリは4つあります。カテゴリはDevRelの4Cに基づいており「コード」「コンテンツ」「コンダクター」「コミュニケーション」に分かれています。カテゴリは補助的な情報ですが、指定しておいた方が分かりやすいでしょう。施策は自由に作成してください。あらかじめ幾つかサンプルを入力してありますが、このまま使っても追加してもらっても構いません。
そして施策ごとに、前述のAAARRRPモデルに対する効果を入力します。戦略テンプレートではシンプルにするために、効果がある場合はYを入力します。例えばSDK/フレームワークの評価は次の通りです。
モデル | 日本語 | 効果 |
---|---|---|
Awareness | 認知 | |
Acquisition | 登録 | Y |
Activation | 利用 | Y |
Retention | 継続 | Y |
Referral | 紹介 | |
Revenue | 収益 | |
Product | 製品 | Y |
もちろん、認知に対しても効果があると考える場合には変更してもらって大丈夫です。
次に各施策に対してコストを評価します。この戦略シートでは簡略化のために三段階の評価としています。3が最も重く、工数大です。1は最も工数が小さいと見込んでいます。この辺りはシステム設計もそうですが、あまり細かくやっても正しい評価になるとは思えません。感覚値として入力で十分かと思います。
次に各施策に対してプライオリティを設定します。これはサービスが目的とするもの、社内リソース状況によって変わるでしょう。まずはユーザ獲得が目的であれば、AwarenessやAcquisitionに関する施策を高く評価し、他を下げることになると思います。同じファネルに有効な施策だったとしても、社内リソースや予算状況によって設定が変わってくるはずです。例えばブース出展は予算がかかるので難しかったり、エバンジェリストが不在のために登壇ができないといった具合です。
効果、コスト、プライオリティが決まれば各施策に対する評価が算出できます。ダウンロードできる表計算ファイルはデモですが、新規登録に重点を置いて考えた場合には「ブログ(新機能)」や「Q&A」の設定が効果的であるようです。この評価では、より多くのファネルに影響を及ぼすものを優先しています。DevRelは一つ一つの施策が絡み合っていたり、複数のファネルに対して影響を及ぼします。そのため、より影響を及ぼしうるものを優先することで、副次的な効果を期待する形になっています。
もちろん、この計算式も変更してもらって構いません。例えば各ファネルの効果を三段階評価(0〜2)にすることで、より強く効果を発揮するものを高く評価できるようにもなります。
いずれにせよ、結果としてローコスト、ハイリターンの臨めるものが高点数となって評価されます。可視化することによって、KGIに対して迷うことなく戦略が選べるようになるでしょう。
DevRel戦略テンプレートのダウンロードはこちらのURLから行えます。
DevRel戦略テンプレートは効果自体はもちろん、サービスの重点を置くマーケティング施策に合わせて定期的に見直しを行ってください。また、評価が低い施策はコストが大きいものが多いはずで、四半期で結果を出そうとするとどうしても取り組みが遅れてしまいます。中長期的な判断をもって、即時性を求めずに行うなどフレキシブルな対応が必要でしょう。
この戦略テンプレートがあなたのDevRel施策決定への一助になることを期待します!
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